VeloNews、Training Tipsより
http://www.greatoutdoors.com/velonews/training/friel/archive/1997/vn5/index.htm
杓谷昭子 訳
★Overtraining -- Life in the Trenches By Joe Friel
オーバートレーニング
レースの成績が悪かった場合、まず何を考えますか?成績が満足しないもの
であったら、おそらく、トレーニングの負荷を増し、さらにハードなスケ
ジュールに従おうと思うのではないでしょうか。これは完全に間違っていま
す。なぜなら、あなたはもうすでにオーバートレーニングである可能性があ
るからです。
オーバートレーニングとは、トレーニングとレストのバランスが取れていな
いことにより生じるパフォーマンスの低下のことです。実際には、レースが
上手く行かないということに現われます。しかし、通常レースが上手く行か
ない場合、もっとハードなトレーニングをしようとするものです。距離を伸
ばしたり、インターバルを増やしたり、あるいはその2つともを行おうとし
ます。成績が伸びない場合、レストを増やすといったアスリートは稀です。
もちろん、レースが上手く行かないのは、必ずしもトレーニングのしすぎに
よるものではありません。「Overliving、生活が忙しすぎる」かもしれま
せん。 1週間に40時間働き、2人の子供の世話をし、その上他にいろいろと
責任を負わなければならないことがあるでしょう。これら全てはエネルギー
を消耗させるものです。
トレーニングというものは、全ての物事を苦労なく上手くコントロール出来
ている状態のときにのみ成果が上がるものです。しかし、オーバートレーニ
ングになりかけているからといって、上司に一日休暇をもらうなんてできな
いでしょう。そういうことを言ったらどうなるか....。
また、子供たちに自分達だけでボーイスカウトのミーティングに行かせるな
んで出来ないでしょう。日常生活も大切なのです。ここで残された選択肢
は、トレーニングを減らして、レストを増やすということです。
★どうしてオーバートレーニングになるか?
トレーニングの負荷を増やすことで、オーバートレーニングに陥る場合、以
下のような要因が関連しています。
1)トレーニング時間が長すぎる(持続時間が長い)
2)強度が高すぎ、またその頻度が高い。(強度が高い)
3)短い時間で多くのトレーニングをやりすぎる(頻度が高い)
競技者に見られる最も一般的な原因は、強度が強すぎることです。ロード
レースは、90%の有酸素と10%の無酸素運動の組み合わせです。トレーニ
ングにはこの比率を考慮に入れて下さい。数週間、無酸素トレーニングに力
を入れすぎると、必ずオーバートレーニングに陥ります。
★オーバートレーニングの徴候
体はいろいろな形で警告を発します。(下記参照)これらの反応は、体が耐
えうる量以上のストレスを受けて死なないようにするためのものです。下記
にリストアップしたものは1つとしてこれが現われれば”確実”にオーバー
トレーニングであるというものはありません。これらのうち多くが、絶好調
の健康なアスリートにもみられる場合があります。
オーバートレーニングに関しては、絶対というものはありません。自分に何
が起っているかという確実なものをお探しですか?冬の準備期またはベース
期に血液検査を受けた場合、毎年受けて比較対照資料として下さい。他の時
期にもオーバートレーニングではないかという疑問が生じたら、再び血液検
査をしてください。お医者さんがアスリートである場合(これが理想です
が)、結果を上手く説明してくれるでしょう。そうでない場合、知識のある
コーチに尋ねてください。
★オーバートレーニングの段階
3段階あります。第1段階は、”overload”、負荷のかけすぎです。通常の
トレーニングで負荷を増やしていきます。それは、体をより高い負荷に順応
させるためです。上手くコントロールされた状態で行うと、体は高負荷に順
応し、高いフィットネスレベルを得ることができます。こうした成果を得る
には、overloadを行うと十分なレストを取る必要があります。
この段階では、短期間の疲労を感じるのが普通です。そして徐々に回復して
いき、レース結果では著しい伸びが見られるようになります。しかし、この
段階で、絶好調の感覚を味わうこともよくあります。やろうと思えばなんで
も出来るのです。この万能の感覚を抱いて次の段階に移行します。
第2段階めは、”overreaching”、能力以上行うこと、です。今までと同
じ異常に高い負荷レベルで、またはそれ以上の負荷で、2週間ほどトレーニ
ングし続けます。強度を高めていく期間を延ばすことがoverreachingの一
般的な症状です。ここで始めて自分のパフォーマンスが目に見えて落ちてく
ることを感じます。
普通は、これは、レース前のトレーニングで起ります。高いモチベーション
があるために頑張れるのです。 overloadの段階よりも疲労は抜けにくく
なっていますが、2、3日休むと回復します。ここでの問題は、自分に必要
なのはよりハードなトレーニングだと思ってしまうことです。これで第3段
階に突入します。
第3段階は最終段階で、立派なオーバートレーニングシンドロームに陥ってし
まいます。疲労はもはや慢性的なものになり、影のように常に付きまとうも
のになります。疲れが抜けない状態で目覚め、仕事や学校でも一日中疲労感
と闘い、睡眠障害も出てきます。副腎は疲労しきった状態です。
★オーバートレーニングの地形図
私は選手達に「フィットネスのピーク(頂上)」に到達するには、「疲労の
谷」を通らなければならないと教えています。しかし「疲労の谷」は、
「オーバートレーニングの断崖」にとても近いのです。その境界にたまに近
づくことが必要です。「たまに」というのは約4週間に1度のことです。 3
週間、負荷を上げると、リカバリーと順応(適応)の時間を設けてくださ
い。選手によっては、(特に新人、あまり若くない人(masters))は、もっ
と頻繁に(おそらく2週間後に)リカバリーを設けることが必要でしょう。
やりすぎると、オーバートレーニングの境界線内に入ってしまいます。
「疲労の谷」に入っていくにつれて、オーバートレーニングの徴候が見られ
てきます。質の良い睡眠が得られなかったり、筋肉痛が抜けなかったりしま
す。「疲労の谷」に入ってしまうと、現われる徴候の数も少なく軽くなるか
もしれません。しかし、ここで負荷を増やしすぎたり、長くかけすぎたりす
るとオーバートレーニングの領域に入っていきます。
この時点で、トレーニングを減らし、レストを増やしてください。レストを
取ることで、4週間前のスタート時点を上回るフィットネスレベルにまで上
げることができます。この過程を数回繰り返すことで、ピークパフォーマン
スまで持っていくことができます。
オーバートレーニングの領域にまで入ってしまった場合、唯一の選択肢はレ
ストです。最初のオーバートレーニングの徴候が見られたら、48時間の完
全休養を取ってください。その後、短い2、3の刺激を含む軽いトレーニン
グを試して下さい。まだ疲労が抜けていない場合、さらに48時間の休養を
取り、テストライドを試みて下さい。完全にオーバートレーニングから回復
するには、5〜8週間かかり、(一端オーバートレーニングに陥ると)フィッ
トネスレベルも大きく失ってしまうことになります。
★トレーニングのこつ
それは、オーバートレーニングになる境界線を知ることです。やる気があ
り、若い、または始めたばかりの選手は、経験のある選手と比較すると、自
分がその境界線を越えていることに鈍感です。こういった理由からも、コー
チの下でトレーニングを行うことが良いのです。
残念なことに、いつoverreachの段階まで進んでいるかに対してははっきり
とした基準がありません。予防の最善策は、自らの思慮分別を使いレストと
リカバリーを取ることです。トレーニングにハードとイージーでバラエティ
を持たせるように、週や月でもバラエティを持たせるのです。オーバート
レーニングよりもアンダートレーニング、つまり、やり過ぎよりも足らない
方がずっとましです。少しでも疑いがあれば、トレーニングを控えることです。
★オーバートレーニングの徴候
無気力、体重の変化
嗜眠、睡眠過度、起床時心拍数の変化
鬱、筋肉痛
集中力の欠如、リンパ腺の腫れ
睡眠パターンの変化、下痢、
いらいら、怪我
性欲減退、感染しやすくなる
のどの渇きが激しい、無月経
だるさ、運動時の心拍数の低下
甘いものが欲しい、傷の治りが遅い