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SCRAP BOOK
リムとタイヤの相性 辻本誠
リムとタイヤの相性についてはよく話題に上ります。しかしそのほとんどの
場合、話題になっているのは、入れるときに固いとか、柔らかいとか、リム
の外径とタイヤの内径、あるいは伸びやすいタイヤか、伸びにくいタイヤか
というような内容が多いものです。
もちろんそのことも大切なことですが、タイヤの太さと、リムの幅について
はあまり話題になりません。しかもリムの形状(ここでお話ししたいのはタ
イヤがのっかる部分の曲率について)について知っている人はほとんどいま
せん。
かくいう私も今まで全く知りませんでした。リムメーカーのカタログにもそ
の点について書いてあるものは全くありません。しかしこれだけいろんな太
さのタイヤがあるのですから、何でも良いというわけにはいかないだろうと
思います。
舞鶴デュアスロンで移動メカニックを担当しておりましたが、2位を走って
いた招待選手がコーナーで転んだとき、その原因はタイヤが外れたことでし
た。HEDのDISCにチェコ製の太いタイヤがついていたのですが、リムの幅
と、タイヤの太さのミスマッチが外れた原因であることはすぐに判りまし
た。しかしよく考えてみると、こういうミスマッチは日常茶飯事、どこでで
もしょっちゅう見かけます。
みんながやっているから、かまわないというもんでもないと思いますので、
リムの曲率を計る特殊なゲージをこしらえて手近なリムを片っ端から計って
みました。その結果、意外な事実が判明しましたので、お知らせするとと共
に、タイヤはリムに合わせて選んでお使いになるようにお勧めします。
リムメーカー、品番 <曲 率>/<深 さ>/<リム幅>
ARAYA ADX1 16‾17 3.5 19
ARAYA ADX4 16‾18 3.5 19
ARAYA ADX5 18 3.0 17.5
ARAYA SA230S 19 3.5 19
NISSEKI MB26 19 4.5 19
NISSEKI NDR2721 19 4.5 19
CORIMA DEEP RIM 20 4.5 20
ZIPP 340 19 4.0 19
HED CX 20 4.5 19.5
HED DISC 18 3.0 19.5
CAMPAGNOLO KAMSIN 19 3.5 19
VELOCITY PRO-ELITE 19 3.5 19
TORAY 3-SPORKS 22 5.5 19
TORAY DR 22 3.5 19
◆曲率
この表のとおり、エアロリムは基本設計が19mmタイヤ用になっており、
太いタイヤは好ましくないことがはっきりわかります。設計の古いTORAY
だけが太いタイヤ用になっており、キャファのオリジナルホイル(ベースは
TORAY)も今となっては設計が古いということになります。 またARAYA
のADXシリーズはロード用ではなく、トラック用として開発されたものを
ロード用と称して販売しているのではないかと疑いたくなるような設計で
す。キャファでも長年に渡り使ってきましたが、この数字を見ると愕然とし
てしまいます。
◆深さ
NISSEKI MB26、NDR2721、HED CX、CORIMA DEEP等は深さが4.5mm
あるので、ガッチリホールドされており、適正サイズを使う限りタイヤが外
れることはまずなさそうです。一方、3.0‾3.5mmのものはリムセメントの
有効面積が狭く、タイヤの太さを合わせてもなお外れる可能性が高いと思わ
れます。パナセメントなどの強力なリムセメンを使う方がよいでしょう。
◆幅
ほとんどのリムが19‾20mmなので差はほとんどありません。ADX5はト
ラック専用なので、何ら問題はありませんが、一部にロード用として使って
いる方もいらっしゃるようなので、すぐに使用を止めるよう忠告します。
◆有効面積
リムセメンの塗布面積(有効面積)はリムの断面形状によって大きな差があ
ります。カーボンリムは全て面積が大きく、従ってリムセメンの接着効率も
高いと思われます。アルミリムではARAYA ADXシリーズ、HED DISCの有
効面積が狭く、危険性が高いと言えそうです。
◆リムが割れる
カーボンリムに不適当な太いタイヤを装着すると、リムの縁の部分に大きな
力(左右に押し広げるような)が働いて、やがてはリムの底(タイヤがのっ
かる部分の底)からリムが左右に割れたり、あるいはリムと外リム(ブレー
キシューの当たる部分)が剥離したり、とんでもない事態が発生する可能性
があります。小さなリムに大きなタイヤ、最も危険な選択です。
今回の調査にはMAVICが含まれておりませんが、キャファではMAVICの在
庫が少なく、2点ほど計測できたに過ぎません。MAVICは全商品にわたり
かなり高いレベルにあると思われるので、サロモンテーラーメイドの木村さ
んにリム(ホイル)の貸し出しをお願いしております。今回の調査ではニッ
セキが一番良いデーターを示していますが、MAVICの数字がそれと比較し
てどのように違うのか調査が楽しみです。
お手持ちの車輪をチェックして下さい。タイヤの選択を間違っていませんか?
ところでデータについて質問があります。
リム幅と曲率が同じなら 深さも
同じだと考えるのですが、 (さらに同じメーカーのリムなら)
リムメーカー、品番 <曲 率> / <深 さ> / <リム幅>
TORAY 3-SPORKS 22 5.5 19
TORAY DR 22 3.5 19
どうして 深さが異なるのでしょうか。それともTORAY 3-SPORKSの
深さ5.5は、リム中央の溝の深さなのでしょうか。
辻本から
リムをよくご覧いただくとおわかりいただけると思いますが、
タイヤがのっかっている部分とブレーキシューが当たる面との間、川の土手
のようになった部分の形状とサイズによって変わってきます。本当はそこま
で説明したかったのですが、計測が難しい上、絵や写真を使わないで理解し
ていただくのは難しいと判断して省略しました。表に示していただいている
TORAYの場合ですと、3-SPORKSの場合は、土手の上が狭く、切り立った
状態です。一方のDEEP RIMは丸く削られており、なだらかな丘陵のような
形状です。
補足して説明させていただきますと、<深さ>が大きい、つまりリムが深い
ほどタイヤを包み込むようになるので、リムセメンの量が少なくてもタイヤ
が外れる危険性は低く、逆に浅いほどしっかり接着しなければ危険だという
ことを理解していただきたいということです。
<リム中央の溝>について言及されていますので、これについても少し説明
してみましょう。リム中央に溝が彫り込まれているリムを見かけますが、こ
の溝がどういう目的で設計されたのか、私には良く理解できません。ご指摘
のTORAYの設計スタッフにも以前尋ねたことがありますが、タイヤの縫い
目の部分を逃がすこと、それが設計の趣旨だという返事でした。
しかし実際にタイヤを装着したとき、その溝にリムセメンが溜まっているの
が確認できます。つまりタイヤに空気をいっぱい入れたら、真円に近くなる
ので、溝は大した意味を持たなくなるのです。多くの信頼すべきリムメー
カーの製品に溝がないのはそうした理由からです。
関連: リムの曲率ってなにですか?