INDEX
SCRAP BOOK
右足と左足のアンバランス
深夜に重心のことをいろいろ考えていると、だんだん頭がこんがらがって、
重心と力点の違いをごっしゃにしてしまって、迷路に迷い込んでしまいまし
た。玄人としてものアドバイスを期待して自転車技術研究所の井上重則氏に
FAXを打ちました。その翌朝、彼と電話で話していたとき、非常に興味深い
話を聞くことが出来たので紹介します。
<右足と左足のアンバランス>とうのはちょっと変かもしれませんが、ペダ
ルに荷重計/圧力計をくっつけて走ってみると、ペダリングが下手な人は下
死点を過ぎても荷重計がプラスを指しているのだそうです。ということは右
足が踏んだ力で左足を押し上げているとしか考えられないのです。後から
返ってくる脚の重さを逆の脚が支えている、しかもその数字が数kgになる
というのですから、馬鹿にならないロスだといえます。ペダリング効率を良
くするだけで、ひょっとすると20%近くパワーアップすることが出来るか
もしれないのです。
回転力のない人が回転数を上げると心拍数が上がるというのも、この辺に原
因があるのかもしれません。すなわち回転数が上がるほど、何回も重たい脚
を持ち上げてやらなければならないのですから、心拍数も上がるわけです。
20年くらい前の話になりますが、鈴鹿で行われた実業団のレースで、森幸
春さんと立ち話をしたとき(正確に言うと、私はそれを立ち聞きしただ
け)、こんなことを言っていました。
<私はレース序盤、インナーギヤ(多分42T)しか使わない。集団の中でく
るくる回してるだけです>
そのころの鈴鹿の平均的なアベレージが40km/h前後だったので、下りでは
60km/hくらい出ていたかもしれません。つまり120rpmくらいでずっと回
していないと追いつけないと言うことになります。そのころのトップギヤは
最小13Tだったと思います。42x13のレシオを120rpmで回すと48km/h
になるので、多分13‾14Tを使っておられたのではないかと思います。
<序盤はアップで、展開を見ながら中盤に逃げを試みる。このとき、その日
の自分の調子を探って、終盤の展開を組み立てる>
アウターギヤで踏むのは逃げるときか追うときくらいで、集団ではインナー
ギヤをくるくる回しているだけ、というびっくりする話を聞いて自分の走り
方に疑問を持ったことを覚えています。この言葉が私のペダリングに関する
イメージを決定しました。20年たった今でも覚えているのですから、よほ
ど強烈だったのだろうと思います。小柄で細い森選手が何故あんなに速く走
れるのか、その疑問を一気に払拭してくれた名回答だったのです。
昨年、念願のアイアンマンHAWAIIに出場した堺の大橋康治さんは、バイク
の序盤、風と操作ミスが原因で道路脇の溝へ突っ込んでしまい、左のデュア
ルコントロールレバーを壊してしまいました。そのためレースの大半をイン
ナーギヤだけで戦わなければならない事になってしまったのですが、バイク
の中盤まではどんどん追い越されてしまいましたが、後半になると、疲れが
出てきた選手がどんどん落ちてきて、おもしろいように抜くことが出来たそ
うです。しかもランにはいると、今までないほど脚が軽く、なんと自己ベス
トを記録してしまったのです。総合でも予想を遙かに上回る結果を残すこと
が出来たのも、<前半で転けたから>と分析されていました。
しかしこの話には裏付けがあるのです。キャファでバイクをオーダーしてい
ただいてから2年以上、回すことに専念してもらいました。<とにかく回
す。今結果を出すことより、2〜3年後のアイアンマンを目指すこと>を実
行し、一昨年の珠洲大会で初めて少し踏めるポジションにしたのですが、
ちょっと踏みすぎて、レース半ばで売り切れてしまいました。
以来、数回のレースを経た後、琵琶湖アイアンマンでは得意なスイムがな
かったにもかかわらず、ハワイの権利を勝ち取ることが出来たのです。たま
たまハワイでは故障したのでインナーギヤだけで走らなければならないは目
になりましたが、それまでの努力があったから、回すことが出来たので、そ
の努力がなければ惨憺たる結果に終わっていたと思います。
皆さんのトレーニングを考える上で、少しでも参考になればと思い、紹介し
ました。