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SCRAP BOOK
シフティングの上手い下手
シフティング、つまり変速操作に上手い下手があることは皆さんご承知です
ね。私が自転車に乗り始めたころは、ディレイラーの性能が悪く、下手な人
には使えない代物でした。シフティングのタイミングに合わせて、足の力を
一瞬抜くのが難しいのです。大概の場合、シフティングは登りで一番重要な
役目を果たすので、負荷のかかった状態で上手く力を抜かなければなりませ
んでした。
シフトアップはレバーを引っ張ればよいので、多少無理な力が掛かっていて
も無理矢理変速することが可能でしたが、シフトダウンは変速機のバネ任せ
です。バネの力が弱いと、いつまでたってもチェーンの位置は同じです。古
いディレイラーほど性能が悪く、今とは比較にならないレベルでした。
ちょっと斜めから見ると、現在のディレイラーは性能がよすぎて、それが災
いするときもあります。シフティング時にチェーンの動きをよく見ると、
ディレイル(脱線)という通り、ギヤからギヤへ、移って行く様は、まさに
脱線です。この脱線した状態の時に、チェーンに強い力が加わるとどうなる
か、つまりスプロケットやチェンリグ(前ギヤ)に大きなストレス、ひん曲
げるような力が加わります。昔では考えもしなかった大きな力がチェーンや
スプロケットにかかるので、それぞれの部品の寿命もずいぶん短くなったよ
うに思います。
もともと踏み込んだ状態、チェーンに大きな張力がかかっていても変速する
ようになったのは、シマノがUGギヤを開発してからです。しかもHGへ進化
し、さらに無理なシフティングガ可能になりました。またデュアルコント
ロールレバー(STI)が出来てから、ダンシングしながらでも変速できる、
無茶苦茶な使い方が可能になったのです。これがチェーン受難の時代の幕開
けです。
リヤディレイラーはチェーンにテンション(張力)がかからない、下半分
(チェンステーより下)にあるので、直接に力を受けるわけではありません
が、フロントディレイラーは大きなテンションのかかったチェーンを無理矢
理にガイドプレートで押しつけて脱線させるのですから、相当の負荷がかか
ります。DURA-ACEのようにディレイラー本体の剛性が高く、しかもガイ
ドプレートの剛性も高い場合は、容易には変形しませんが、ULTEGRA、
105クラスだと、場合によっては新品でも簡単に変形してしまいます。
先日、あるお客様のチェーン(DA7700)が切れました。ロードレーサー
でチェーンが切れるのは珍しいので、バイクを調べてみますと、インナーギ
ヤに何かが鋭く食い込んだ形跡があります。きっとこれがチェーン切れの原
因だと思います。無理なシフティングがもたらした結果だろうと想像してい
ます。
新しい9Sチェーンは細くて軽いので、どこか弱々しく、切れても不思議で
はないように見えますが、引っ張りに対する強さでは旧型とほぼ同じ強さを
維持しているそうです。ここからは私感ですが、ねじれ強さに関しては薄い
分弱いのではないかと思います。それなりに無理がかからないようなシフ
ティング操作が要求されるのではないでしょうか。