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掲載日:1998.7.18

サイクルシューズとランニングシューズの違い ####辻本誠

私はシューズの専門家ではないので、よくわからないところがあります。も
しできればシューズの専門家(たとえばアシックスの研究所など)を紹介し
てもらって、研究してみたいと思っていることがあります。

競技用のランニングシューズにはいろんなタイプがあります。100mを走る
ためのシューズ、42kmを走るためのシューズ、アンツーカー(というので
しょうか)、赤い土の上を走るためのスパークが付いたシューズ、そして固
いコンクリート路面を走るためのシューズなど、様々です。

ところが自転車競技に使うシューズにはそんな細かい種類分けはありませ
ん。値段と色が違うだけで、何がどう違うのか売っている側もよくわかって
いないのが現状です。昔からこんな風だったのでしょうか。

私が子供の頃は、レーサーシューズ(と呼んでおりました)そのものが珍し
く、もちろん種類のことなど知る由もありません。やがて大学時代になる
と、結構いろんな種類を見ることが出来るようになりました。そのほとんど
はイタリア製、cinelli、colnago、deto-pietolo等々、全部(アッパー、
ソウル)皮で出来ており、雨に降られた日には手入れが大変でした。中には
ソウルが木で出来ているのもあり、これはもっぱらインドア用(日本にはイ
ンドアのトラックはありませんでしたが、ヨーロッパには各地にあって、そ
こで使うものだと聞いていました。また皮のソールのロード用より木の方が
固いので、力が逃げないのだと誰かが言っておりました。

夏用と冬用があって、夏用には穴が一杯開けてあり、蒸れることが無く、日
本の夏でも快適に走れました。一方冬用には、勿論穴はなく、皮が少し分厚
く、内側は細かい毛で覆われていました。私のような貧乏学生でも夏用と冬
用の2足を使い分けていたのです。

今でもアディダスのシューズにはトラック用(紐靴)が残っているのではな
いかと思います。数年前日本で行われた自転車競技の世界選手権では、多く
のトラック選手がアディダスを使っていました。デサント時代には供給が不
十分でしたが、アディダスジャパンになって少しは良くなるかもしれません。

さてここからがシューズについて知らないことがばれそうな部分です。

ランニングシューズの短距離用というのは、ソウルがとても固くて、その形
状はハイヒール型になっています。つまり爪先立ちした形状です。これを履
いた人は、踵を地面に付けることなく、つま先で地面をとらえながら走るの
だろうと思います。ソウルが曲がると地面を蹴ろうとする力が逃げてしまう
ため、固く曲がらないソウルにするのだと思います。ところが、マラソン
シューズのソウルは、こんなに薄いと、足の裏が痛いのではないかと心配に
なるくらい薄く柔らかくできています。なぜ短距離用のソウルの固いシュー
ズではいけないのでしょうか。

人の足には、進行方向に対して0度の長いアーチと、90度の短いアーチが
あります。この二つのアーチは私の想像以上に重要なのではないかと思いま
す。というのは良く訓練されたアスリートのアーチはたいがいの場合良く発
達しているからです。なぜ必要、なぜ重要なのか、その点が素人の悲しさ
で、よくわからないのですが、重要であることは多分間違いないところだと
思います。

そこの固いシューズを長時間はいたときの弊害は、きっとこのアーチが機能
しなくなるからではないでしょうか。もしそうだとしたら、何らかの方法
で、アーチを損なわないシューズの開発が出来るかもしれません。

実は数年前、拇指球が変形した(外反拇指)女性の自転車用のシューズを作
らなければならないことになり、いろいろ工夫したのですが、規制のバイク
シューズでは痛くて履けません。結局ランニングシューズを使えるペダルに
交換したのですが、あれこれ考えているとき、ランニングシューズの底にク
リートを付ければ走れることを思いつき、早速試作してみました。古いラン
ニングシューズのソールの前半分を薄く削って、クリートが付くように細工
してあるアルミの板を接着しました。普通のバイクシューズは踵まで堅い板
で形成されていますが、あえて土地踏まずまでとしました。

早速テストしてみましたが、全く何の不都合もありません。普通に使えるの
です。これで謎は深まるばかりです。

マウンテンバイクにクロスカントリーレースというのがありますが、これは
バイクを担いで坂を掛け登ったりしなければなりません。このときバイク
シューズは底が曲がらないので、とても走りにくいのです。そこでソウルの
ほぼ中間で、切り離してみました。真ん中で二つに折れ曲がるバイクシュー
ズが出来ました。2年前までキャファで仕事をしていた湯浅君はそのシュー
ズでエリートクラスで戦っていました。十分使えることがこれで証明できた
と思います。

今年、宮古島で優勝した田村君はランニングシューズでバイクに乗るので有
名でしたし、こうした例は他にもあると思います。

太股で発生した大きな力は膝、足首を経由して拇指球からペダルに伝わりま
すが、この小大きな力にアーチは負けないのでしょうか。長い時間力を受け
続けなければなりませんから、かなりの負担だと思います。

クリートの位置を後へ、つまり拇指球を前にセットしたがるアスリートが多
いのは、より踵に近いところで力を受ける方が楽だからなのではないでしょ
うか。私たち自転車の専門家と称する人達は、拇指球の真下か、あるいはそ
れより少し後にペダルシャフトが来るべきだと言っておりますが、それはあ
くまでもペダリングの効率が良いと言うだけで、アーチに関しては何がその
根拠なのかはっきりしません。

今回のところは、ただいま勉強中ということで、この辺で筆を置きますが、
こんなことも考えてみると面白そうだなと言う程度にご理解いただければ幸
いです。


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